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2022.10.2

新型コロナの影響で相続税申告はどう変わった?期限の延長の申請の方法とは

新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、様々な場面に影響をもたらしています。

相続税申告の現場もその一つです。ご自身の体調や感染拡大の状況をふまえて外出を控えている方などは、期限までの申告が困難となる方も多くいらっしゃると思います。

令和2年(2020年)に全国的に発令された緊急事態宣言の際には、簡易な方法だけで相続税申告の期限延長が可能な特例ができましたが、
その後この特例は見直され、令和3年(2021年)4月以降「災害による申告、納付等の期限延長申請書」という手続きが別途必要となりました。

今回は、相続税の延長申請を行うにはどうしたらよいのか?またその際の注意点など詳しくご紹介していきますので、少しでもお役に立てましたら幸いです。

1. 新型コロナの影響で相続税申告期限延長の申請方法

繰り返しになりますが、2021年4月16日以降に相続税の期限延長の申請をするためには、別途『災害による申告、納付等の期限延長申請書』を提出する必要があります。

この『災害による申告、納付等の期限延長申請書』は国税庁の公開資料、または税務署で取得することが可能です。

また、申請書の具体的な記載方法については、国税庁が提供している以下の資料を参考にしてください。

【参考】『相続税の申告・納付期限に係る個別指定による期限延長手続の具体的な方法』(0020004-074.pdf (nta.go.jp)

2. 延長が認められる「やむを得ない理由」とは?

相続税申告の延長の申請書を提出したからといって、必ずその延長が認められるわけではありません。期限に間に合わない「やむを得ない理由」があるときのみ、相続税の申告・納付の期限延長が認められます。

この「やむを得ない理由」とは、具体的に以下のようなものが考えられます。

  • 納税者や法人の役員、経理責任者及び税務代理等を行う税理士が新型コロナウイルスに感染した
  • 納税者や法人の役員、経理責任者及び税務代理等を行う税理士が濃厚接触の疑いがある場合や、発熱など感染症に感染した疑いがある場合に保健所・医療機関・自治体等から外出自粛の要請を受けた
  • 生活の維持に必要な場合を除き、みだりに自宅等から外出しないように要請されている

詳しくは国税庁ホームページ「1 申告・納付等の期限の個別延長関係 (nta.go.jp)」の『問5 期限の個別延長が認められるやむを得ない理由〔令和4年4月18日更新〕』をご覧ください。

3. 延長の申請書の提出方法

延長の申請書の届け出方法については、下記の2通りの方法があります。

  1.  申告書を提出するより前の段階で延長申請を提出し、その後自身で設定した申請期限内に申告書を提出する方法
  2. 相続税の申告期限を過ぎてた段階でも延長申請は事前提出せず、申告書を提出する段階で延長申請と同時に提出する方法

また、申請書の提出場所は被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に提出します。

4. 延長の申請をする際の注意点とは

では、この延長申請をする際に間違えやすい注意点を2つご紹介します。

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・相続人ごとに作成しなければならない!

まず注意が必要なのが、この申請書は複数の相続人がまとめて作成することはできないため、相続人ごとに申請書を作成しなければなりません

なぜなら、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」は相続人がそれぞれがご自身の状況を判断して提出するものであるからです。

そのため、延長申請をする相続人の数の分の申請書を用意して記入・提出する必要があることに注意しましょう。

・申告・納付期限は、原則として申告書の提出日!

延長申請書を提出すると同時に、相続税の納付の期限は相続税の申告期限と同じ日となります。

つまり、「相続税申告書の提出日=相続税納付期限日」となるため、提出後に納税すると延滞税のペナルティが発生してしまいます。

必ず納付するタイミングには注意しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?新型コロナウイルスの感染拡大により、いつ何が起こるかわからないというのが現在の状況です。

万が一申告や納付が間に合わない場合は、必ず延長申請書を正しく作成して理由が認められると、延滞税などのペナルティは課されずに期限後申告ができます。

そのため、もし新型コロナによるやむを得ない状況でも焦らずに対処することが大切です。

税理士法人ブライト相続 税理士 戸崎 貴之 監修

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