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相続税を払わないとどうなる?ペナルティや時効についても解説!

相続税は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」に支払わないといけないというルールがあります。
ただし、この期限に1日でも間に合わなかったり、申告をしたものの申告漏れがあった場合などには、税金をきちんと支払わなかったとしてペナルティ(追徴課税)が課されてしまいます。
そこで今回は、実際に相続税の納付期限を過ぎてしまったり、申告漏れをしてしまうとどのようなペナルティを課せられてしまうのかについてご紹介していきます。
Contents
1. 相続税の納付期限は10か月!
先ほど申し上げた通り、相続税の申告・納付の期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」です。
提出期限が土日祝日と年末年始(12月29日~1月3日)当たる場合は、その翌日が期限となります。
この期限以内に申告と納税をしなければ、税金滞納状態になってしまい、ペナルティが発生してしまいます。
また、一定期間内に遺産分割協議が整わなかった場合でも、申告や納付の期限を延ばすことができません。その場合は、法定相続分で相続があったものとみなして申告と納税をしなければなりませんので、注意しましょう。
2. 相続税申告における4つのペナルティ
では、万が一相続税の申告・納付の期限に間に合わなかったり、申告漏れが発覚したりした場合のペナルティにはどのようなものがあるのでしょうか。
主に以下の4つがあります。
【1】延滞税
相続税の納付期限までに相続税を納付しなかった場合に発生する税です。
税務調査で申告漏れを指摘されて修正申告をする場合など、本来申告しなければならない期限を過ぎているときには必ず発生します。
また、納付を遅れた時期によって以下のように2段階に税率が変わってきます。
〇相続税申告期限の翌日~2ヶ月:延滞税7.3%/年 or 延滞時特例基準割合+1%
〇相続税申告期限から2ヵ月超:延滞税14.6%/年 or 延滞時特例基準割合+7.3%
つまり、延滞税は納期限から2か月で約3倍ほどに跳ね上がるということになります。
【2】過少申告課税
財産を隠すなどの意図がなく、相続税の申告書の金額が足りなかった場合に課せられる税です。
追徴課税額によって以下のように割合が変わってきます。(申告期限が平成29年1月1日以降の場合)
〇税務調査の事前通知より前に自主的に修正申告をした場合:追徴課税額にかかわらずなし
〇税務調査の事前通知を受けてから税務調査を受けるまでの間に修正申告をした場合
(1)追加課税額が当初申告した税額または50万円のいずれか多い方で以下の部分:5%
(2)追加課税額が当初申告した税額または50万円のいずれか多い方で超える部分:10%
〇税務調査の事前通知を受けてから修正申告・更生を受けた場合
(1)追加課税額が当初申告した税額または50万円のいずれか多い方で以下の部分:10%
(2)追加課税額が当初申告した税額または50万円のいずれか多い方で超える部分:15%
ただし、この過少申告課税は間違いに気付いた時点で早めに修正申告を行うことで回避できる可能性がありますので、万が一申告ミスに気が付いた場合にはいち早く修正申告を行うようにしましょう。
【3】無申告加算税
相続税がかかるのに申告をしなかったときに課される税です。
こちらも状況によって以下のように課税額が変わります。(申告期限が平成29年1月1日以降の場合)
〇税務調査の事前通知より前に自主的に修正申告をした場合:5%
〇税務調査の事前通知を受けてから税務調査を受けるまでの間に修正申告をした場合
(1)相続税額のうち50万円以下の部分:10%
(2)相続税額のうち50万円を超える部分:15%
〇税務調査の事前通知を受けてから修正申告・更生を受けた場合
(1)相続税額のうち50万円以下の部分:15%
(2)相続税額のうち50万円を超える部分:20%
また、無申告加算税は、あくまで相続税がかかることを知らずに申告をしなかった場合に課される税で、意図的に申告しなかったとみなされた場合は、次に説明する重加算税が課されます。
【4】重加算税
財産を隠蔽したり、わざと少なく申告したり、意図的に申告しなかったとみなされたときに課される税です。
重加算税は悪質な行為に対すペナルティなので、課税額も以下のように非常に高くなります。
〇申告書を提出していた場合:35%
〇申告書を提出していない場合:40%
3. ペナルティを課されないために…よくある申告漏れのケースに注意!
正しく計算・申告したつもりでも申告漏れが起きてしまった…という事例は少なくありません。
ですが、できる限りペナルティを課されるのは避けたいですよね。
そこで、以下のケースにおいて申告漏れによるペナルティが発生しやすいため、特に注意しましょう。
・隠し財産
相続税の申告期限が過ぎてから財産が見つかり、税務調査で指摘されるというケースがあります。
もちろん、土地や家屋などの高額かつ隠しようがない財産についての申告漏れは少ないものの、
被相続人が隠したつもりがない現金や預貯金などが後々見つかるとなると、相続税の申告漏れが起きてしまいます。
そのため、相続財産は本当にこれで全てなのか、見落としていた財産はないのかを、入念にチェックするようにしましょう。
・名義預金
名義預金とは、「被相続人(亡くなった人)の名義の預金ではないものの、被相続人の相続財産になってしまうお金」のことをいいます。
例えば、祖父が孫の将来のために孫名義で預金をしていた場合、名義は孫であるため孫のお金のように見えますが、真のお金の持ち主は「祖父」となります。
口座の名義が被相続人ではないため、相続財産にはならないのでは?と考える方が多いと思いますが、この場合「財産の真の持ち主=被相続人」と考えるため、被相続人の相続財産に加えなければなりません。
しかし、名義預金を相続財産として考えていない人が多いことから、申告漏れを指摘されるケースが多いため注意が必要です。
4. 相続税に時効はある!?
相続税の時効は、申告期限から原則5年です。正確には、相続税の10ヵ月後の申告期限から5年が時効となるため、亡くなった日から5年10ヵ月を過ぎると相続税の申告も納付もしなくて良いことになります。
ただし、相続税を払わなければいけないと知っていたのに払っていなかった場合には、相続税の時効は申告期限から7年に延長されます。
相続税に時効があるからといって、時効を待つのは非常に危険です。なぜなら、もし税務署に指摘されてしまった場合には、本来納付するべきだった税額だけでなく追徴課税が課されるため、それだけ多く支払わなければならなくなります。
そのため、時効にかかわらずきちんと申告・納税をしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。思っていたよりも厳しいペナルティがあることに驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ですが、相続税申告を、きちんと期間内に正しい金額で行えば、このようなペナルティを受けることは絶対にありません。
もしご自身で相続税を申告・納付する方は、特にここで挙げた注意点や期限を厳守して、税務署に指摘されない相続税申告を行いましょう。
税理士法人ブライト相続 税理士 戸崎 貴之 監修
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