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2022.11.18

生命保険を活用した相続対策|節税の仕組みや活用のメリットを徹底解説

「生命保険は相続税の対策になる」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

実際に、生命保険を活用した相続対策は多くの方が実行されています。しかし、節税できるから、という理由で安易に保険を契約してしまうと、課税される対象が違っていた…などと思いもよらない事態に陥ってしまう可能性があります。

そのため、まだ保険を活用されていない方がいらっしゃいましたら、こちらの記事で生命保険と税金の関係をきちんと理解してから、ぜひご検討いただければと思います。

今回はそんな生命保険の相続税対策について詳しくご紹介していければと思います。

1. 生命保険と税金の関係は?

生命保険を活用した相続対策をご説明する前に、まずは生命保険金を受け取った時にどういった種類の税金がかかるかをご説明します。かかる税金の種類は、保険契約における各当事者である、

  • 契約者(保険料負担者)
  • 被保険者
  • 保険金受取人

が誰になるかによって変わります。被保険者である「父」が亡くなった時の税金の種類は次の通りとなります。

Aの場合:

子供がお父さんを被保険者として保険をかけていて、お父さんがお亡くなりになった場合には、子供が受け取った保険金は子供の所得税の対象となります。

Bの場合:

お父さんが自身を被保険者として保険をかけていて、お父さんがお亡くなりになった場合には、子供が受け取った保険金は相続税(被相続人=お父さん)の対象となります。

Cの場合:

子供がお父さんを被保険者として保険をかけていて、お父さんがお亡くなりになった場合には、孫が受け取った保険金は子供から孫への贈与があったものとみなしての贈与税の対象となります。

2. 生命保険による相続税の節税の仕組み

相続税がかかるケース(前述のBのケース)では、相続人が受け取った保険金に「相続人の人数×500万円」の非課税の枠があります。受け取られた保険金から非課税枠(相続人の人数×500万円)を差し引いた金額が相続税の対象となります。

例えば、亡くなられたお父さんには、お母さんとお子さん2人の計3人の相続人がいる場合には、1500万円(=500万円×3人)までの死亡保険金が非課税となります。

もし現時点で生命保険に入られておらず、節税のための資金として1500万円の預金がある方は、これを生命保険(例えば約1500万円を保障額とした一時払い終身保険)に変えるだけで、1500万円分の財産の圧縮(相続税の節税)が可能となります。これは非常に大きなメリットと言えます。

留意して頂きたいのは、「相続人が」受け取った保険金についてのみ非課税が認められるという点です。そのため、相続人以外の方が受取人となっていた保険金について非課税は認められておりませんのでご注意ください。

3. 生命保険には節税以外のメリットも!

支払われる死亡保険金は、相続の対象となる遺産ではなく、保険契約で定められた「保険金受取人」の固有の財産として取り扱われます。従いまして遺産分割協議の対象外とされまして、遺言に似た効果があると言われています。結果として、よっぽど多額な保険金でない限りは、法定相続分や遺留分の対象から外すことができます。

また、生命保険金は相続発生から短期間で現金を受け取ることができます。保険金でなく預貯金の場合には、相続人全員の同意(遺産分割協議)がなければ引き出すことができませんが、保険金であれば、事前に保険契約で定められた「受取人」が、申請により短期間で現金を受け取ることができます。短期間で受け取られた現金は、納税資金や遺産分割のための資金として活用が可能となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、生命保険による相続対策についてご説明してきました。今回の記事をまとめると、生命保険を相続対策に活用するメリットには以下のようなものがあります。

  • 死亡保険金の非課税枠(500万円×相続人の人数)により相続税の節税になる
  • 保険金受取人の固有財産として取り扱われるため、原則、遺産から除いて考えることができる
  • 相続発生後、預金等に比べて短期間で保険金を受け取ることができる

ただし、このように多くのメリットがある反面、きちんと理解をしたうえで対策を行わないと、想定していた効果は得られなくなってしまう可能性があります。そのような状況を避けるためにも、きちんと仕組みを理解した上で、無理なく計画的に相続税対策を行っていくことが重要です。

この記事が、これから相続対策をしようと考えている方に少しでもお役に立てれば幸いです。

税理士法人ブライト相続 税理士 竹下祐史

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