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2021.12.11

相続手続きの期限はいつまで!?注意が必要な相続手続きについて解説!

人が亡くなると同時に必ず起こるのが『相続』。家族など大切な人を亡くして気持ちが沈んでいても、期限までに様々な相続の手続きを行わなくてはなりません。

今回は期限のある相続の手続きについて解説していきます。相続手続きの中で期限のあるものは、主に以下のとおりです。

1. 相続放棄、限定承認

相続人は、被相続人の財産を相続するかどうかを選択することができます。選択肢としては、①単純承認②限定承認③相続の放棄の3つです。この選択は、原則として相続開始を知った時から3ヶ月以内にしなければなりません。

①単純承認

被相続人の財産(資産および負債)を全て承継すること。つまり、単純承認を選択すると、プラスの財産もマイナスの財産も全て引き継ぐという事になります。

そのため、預金や不動産のようなプラスの財産が、借金などのマイナスの財産を明らかに上回っている場合は、単純承認を選択するのが妥当です。

また、相続人が3ヶ月以内に限定承認や相続の放棄をしなかった場合は、単純承認したものとみなされます。(何もしないでおくと単純承認となる)

②限定承認

被相続人の資産(プラスの財産)の範囲内で、負債(マイナスの財産)を承継すること。つまり、限定承認を選択すると、莫大な借金やその他弁済しなければならない事があったとしても、プラスの財産を超えた分は返済しなくても良いという事になります。

そのため、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いのか複雑で分からない場合は、限定承認を選択する意味があります。

また、限定承認をする場合は、3ヶ月以内に相続人全員で家庭裁判所に申し出る必要があります。

③相続の放棄

被相続人の財産(資産および負債)をすべて承継しないこと。つまり、プラスの財産もマイナスの財産も両方とも引き継がないという事になります。

そのため、莫大な借金があるなど、明らかにマイナスの財産が多い場合には相続放棄を選択する意味があります。

また、相続を放棄する場合には、3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出る必要があります。(単独でも可)

2. 準確定申告

通常の確定申告は、その年の1/1~12/31までの1年間の所得税を計算し、翌年2/16~3/15までの間に申告・納税します。しかし、確定申告をするべき人がその年の途中で亡くなった場合、亡くなった人の家族、つまり相続人が申告・納税を行います。この被相続人の代わりに相続人が行う確定申告のことを、『準確定申告』といいます。

準確定申告の手続きの期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内とされています。つまり、一般の確定申告の期限とは異なるため注意が必要です。

申告期限に遅れたり、申告せずに放置をしたりしていると、加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性があるので注意しましょう。

3. 相続税の申告、納税

相続税の申告や納税は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。提出期限が土日祝日と年末年始(12月29日~1月3日)に当たる場合は、その翌日が期限となります。この10ヶ月の期限以内に申告と納税をしなければ、税金滞納状態になってしまい、遅延日数に応じた延滞税(利子税)がかかってしまいます。一定期間内に遺産分割協議が整わなかった場合は、申告の期限を延ばすことができないため、法定相続分で相続があったものとみなして申告をしなければなりません。

また、相続税は10ヶ月以内に金銭一括納付が原則ですが、どうしても期限内に納められない方は『延納』や『物納』という方法があります。

『延納』とは、相続税の全部または一部を年払いで分割して納付する方法です。ただし、下の要件を満たす場合に限られます。

  • 金銭一括納付が困難であること
  • 納付すべき相続税額が10万円を超えていること
  • 延納申請書を申告期限までに税務署に提出すること
  • 延納税額と利子税額に相当する担保を提供すること(延納税額が100万円以下かつ延納期限が3年以下の場合は不要)

『物納』とは、相続税を相続財産によって納付する方法です。ただし、下の要件を満たす場合に限られます。

  • 延納によっても金銭納付が困難であること
  • 物納申請書を申告期限までに税務署に提出すること

4. 遺留分侵害額請求

法定相続人には最低限保障されている相続の割合があります。それを、『遺留分』といいます。また、遺言などで遺留分を侵害されたときに取り返すことのできる『遺留分侵害額請求権』という権利がありますが、期間の制限があります。

①相続の開始および遺留分の侵害を知った日から1年

②相続開始から10年(相続の開始を知らなかった場合)

そのため、例えば「父が亡くなったこと」と「不公平な遺言書が残されていたこと」の両方を知ったときから1年以内が請求権の期限となります。

5. 生命保険の受け取り

被相続人が生命保険に入っていたならば、受取人が死亡保険金を受け取れますが、それを請求するのには3年の期限があります。

また3年以内なら請求できるので、死後しばらく経ってから保険に加入していたことを知った場合でも手続きすれば保険金を受け取れます。わからない場合は早めに保険会社へ連絡してみるとよいでしょう。

まとめ

このように、相続の手続きには様々な期限付きのものがあります。辛い事実を受け止めながら、仕事もして様々な期限に追われるのは精神的にかなり負担が大きいものと思われます。

かなり煩雑で大変だと言われている相続の手続きを、期限に追われることなくスムーズに行えるよう、前もって頼れる税理士さんを探したり自分で出来る相続手続きの方法などを調べたりすることから始めてみてはいかがでしょうか。

また、頼れる税理士さんを探している間に手続きが自身で完結できるような、ネットで簡単に行えるシステムやサイトなどを予め把握しておくことも、相続手続きを少しでも楽にスムーズに行うことのできる手助けをしてくれます。

それぞれの手続きの期限を過ぎることのないよう、ぜひ相続の事前準備を心がけましょう。

 

税理士法人ブライト相続 戸崎貴之 監修

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