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2022.8.30

相続税の「税務調査」を徹底解説!指摘されやすい相続税申告とは?

相続税申告は税理士に依頼することもできますが、もちろんご自身で計算して申告することもできます。このような相続税申告を自分で申告する方が、申告の流れの中で特に気になるであろう段階が、申告後の「税務調査」です。

特に、これから相続税申告を初めてするという方は、どのくらいの割合でどのような形で税務調査が行われるのか、不安に感じているのではないでしょうか?

今回はそんな「相続税の税務調査」について、詳しくご紹介していきます!自分で相続税の申告をしようと考えていらっしゃる方などに参考にしていただければ幸いです。

1. 相続税の税務調査とは

相続税の税務調査とは、納税者が提出した申告内容が正確であるか否かを税務署がチェックすることです。

申告額を間違えている、または故意に税を免れるために隠ぺい工作を行っているなどの疑いがあれば、その都度税務署職員による確認の調査や証拠書類の提出などを求められ、実際に申告内容に漏れや不備が確認されれば修正申告等を促して是正されます。

この調査には2種類あり、調査対象となる人に対して事前に税務署から連絡があり、調査日時を決めて行われる「任意調査」と、任意調査を拒否した人や、明らかに悪質な脱税が疑われる人などに対して行われる「強制調査」があります。

相続税の税務調査は基本的に「任意調査」ですが、任意とは言っても強硬に断ると強制捜査に入られてしまう可能性があるため、基本的には税務調査に入られると断ることはできません。

2. 税務調査の対象となる割合は?

では、相続税申告をした人のうちどのくらいの人が税務調査に入られる可能性があるのでしょうか?

相続税の税務調査には、税務職員が相続人の自宅を訪問して行う「実地調査」と、電話・文書による連絡や相続人を税務署に呼ぶなど税務職員が訪問しない「簡易な接触」があります。

国税庁のホームページの「令和2事務年度における相続税の調査等の状況」によると、令和2事務年度(令和2年7月~令和3年6月)の税務調査のうち実地調査が行われた件数は5,106件でした。

ただし、令和2事務年度においては新型コロナウイルス感染症の影響により実地調査件数は⼤幅に減少したそうです。(令和元事務年度の対して52%減)

また、「簡易な接触」の件数は13,634 件、実地調査を含めると全体のうち約16%、およそ6人に1人の割合で税務署から何らかの相続税申告に関する問い合わせを受けていることになります。

3. 税務調査で指摘されやすい人とは?

では、税務署はどのような人を調査の対象として選ぶのでしょうか。

先ほど記載した通り、相続税の申告に誤りがあったり、財産を隠していたりする可能性のある家庭を、税務署は調査対象に選びたいのです。

このような税務調査で指摘されやすい人には、以下のような特徴を持つ人が多いといわれています。

①相続税の課税価格が3億円以上と大きい人

相続税の課税価格の総額が3億円と大きい場合、税務調査が入る確率は高くなるといわれています。なぜなら、相続財産が多いということは、それだけ計算ミスや不動産などの評価ミスが増えるからです。

税務署は調査対象の家庭を選定するために、富裕層を管理する独自のリストを持っていて、特に念入りに調査すると言われています。

そのため、相続税の課税価格が大きいということ自体が、税務調査の対象に選ばれやすい特徴の一つに挙げられます。

②税理士に依頼せずに自分で相続税申告をした人

税理士に依頼せずに自分で相続税申告をした場合、税務調査の対象になりやすいです。

なぜなら、自分で作成した申告書であった場合、申告書の記載間違い・計算ミス・添付書類の不足などを疑う可能性が高いからです。

特に土地の評価額は、知識と経験の豊富な専門家でさえ地形や場所によっては判断が非常に難しいものであるので、自分で申告をしたとなると正確性を疑われてしまう可能性が高いです。

③無申告である人

相続税申告をしていない、無申告の人も税務調査の対象になりやすいとされています。

相続税の申告が明らかに必要であるにもかかわらず申告をしていない人はもちろん、さまざまな控除や特例を適用した結果、相続税はゼロになるというケースの人も税務調査が入る可能性があります。

なぜなら、これらの控除や特例が正しく適用されておらず、実は相続税が発生している可能性や、そもそも相続財産に見落としがあって合算すると実は相続税が発生するなどという可能性が考えられるからです。

そのため、「自分には申告が必要ない」と思い込んでいる人でも税務調査が入る可能性はゼロではありませんので、注意してください。

④生前に多くのお金が動いていた人

被相続人の生前に預貯金の出金や入金回数が多い場合も、税務調査の対象になりやすいです。

なぜなら、預貯金の出入りが多いと、被相続人が生前に相続税対策として財産の移転をしていた可能性が疑われるからです。

もちろん生前贈与として贈与時に贈与税を正しく納めていれば、調査が入っても問題ありませんが、万が一申告漏れがあった場合は追徴課税などのペナルティが発生します。

4. 税務調査に入られないための対策はこちら!

ここまで税務調査について様々な解説してきましたが、できるだけ税務調査に入られないように最初から正しく申告したい!という方がほとんどですよね。

そんな方々のために、できる限り税務調査に入られないようにするための対策を3つご紹介します。

①相続に強い税理士に依頼して正しく相続税申告をする

相続税申告には様々な制度の知識や難しい計算を伴うため、プロである税理士に依頼すると申告ミスや申告漏れの可能性は確実に低くなるため、もちろん税務調査に入られる可能性も低くなります。

ただし、税理士といっても専門分野はさまざまであるため、相続税申告の経験が豊富な、相続に強い税理士を探して依頼するようにしましょう。

②被相続人の財産を把握しておく

被相続人の財産を遺族が把握していないと、相続財産の見落としが生じるリスクも大きいといえます。

そのため、生前からどんな資産がどれくらいあるのか、口座はいくつあるのかなど、被相続人の財産を家族が把握しくことも税務調査を回避するための対策の一つです。

③生前贈与は証拠に残しておく

生前贈与は相続税対策の手段として広く活用されておりますが、そこで重要なのがそのやり取りが「生前贈与である」という証拠を必ず残すことです。

贈与である証拠を残すためにも、銀行振込で記録を残したり、相手が家族でも「贈与契約書の作成」をするなどが有効的です。

まとめ

いかがだったでしょうか。「税務調査」は実際にされたことがない限りなかなか実態がわからないため、漠然と不安に思っている方も多いかと思います。

もちろん、税務署に指摘されないように正しく申告することが最も重要ですが、万が一税務調査に入られたとしても、故意にうその申告をしたり計算ミスをしていなければペナルティは課されません。
慌てずに落ち着いて対処するようにしましょう。

この先ご自身で相続税申告をしようと考えている方は、この記事をご参考に、税務調査に入られない正しい申告ができるよう対策をしていくことをおすすめします。

税理士法人ブライト相続 税理士 戸崎 貴之 監修

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